
渡辺 篤史 さん
メッセージ:
俺に近づくな!
けん銃は、人から人へと渡る間に取り返しのつかない悲劇を生み出します。私は、銃器犯罪を根絶するための広報用として作られたビデオの中で、主人公である「けん銃の声」の役として出演し、こう呼びかけました。
ビデオでは、けん銃を手に入れたばっかりに、恋人の母親を殺してしまったり、コンビニエンス・ストアーで強盗をしてしまったりする若者の姿が描かれています。もちろん、これはドラマの世界の話です。
しかし、けん銃を発砲するという事件が、昨年(平成9年)の後半から多発していること、けん銃の発砲を伴う強盗事件の発生が目立っていることなどを聞いて、ビデオのストーリーと同じようなことが現実に、しかも身近に起こっているのだということを改めて知りました。特にけん銃は、それによって命を奪われる被害者と、それを使って犯罪を犯してしまう加害者の双方を不幸にしてしまうのだなぁと強く実感しました。
私は、建築に大変興味を持っていて、「建もの探訪」という番組を10年位続けていますが、素晴らしい「建もの」は、家族の楽しい団らんを包み込みます。同じように、安全な社会は、私たちの平和で安心できる暮らしを包み込んでいるのだと思います。
その中で、けん銃とは人を傷付け、平和を乱すだけの存在価値しかなく、ひとたび銃口から火を噴くと、社会の安全性という骨組みを根底から崩壊し、私たちを恐怖と不幸のどん底に陥れる凶器にほかならないのです。社会にしても、その中の建物にしても、骨組みに使った鋼材や壁を塗り固めたコンクリートに、異物が混じっていたり、その組合せや用法が誤っていれば、しっかりとした構造ができ上がることはないのです。
そういう意味からしても、けん銃はこのビデオのタイトルどおり、「俺に近づくな!」っていう感じですよね。
渡辺 篤史