
富山 英明 さん
レスリングオリンピック日本代表
メッセージ:
レスリングは、世界最古の歴史を誇る格闘技です。古来より、人間として地球上で生活を営んでいく中には、様々な危険が降りかかってきました。これらの危険を避けて、あるいは立ち向かって、自分たちの安全を確保するため、自分の身は自分で守るという自己管理術を身につけねばなりませんでした。
そして、レスリングは、人類が社会という形態を取り始めたころから、ルールが誕生し、スポーツになったと理解してもいいでしょう。こうしてレスリングは、紀元前708年の古代オリンピック第18回大会で正式種目となって以来、オリンピックのメイン種目として尊重されて現在に至っています。
さて最近、新聞やテレビのニュースなどで、けん銃を使って人を殺したり、強盗をしたりという凶悪な事件の発生について耳にすることがありますが、こうした事件が増えているのは、自己管理術を身につけていなかったり、生活のルールを守ろうという気持ちが弱かったりする人が増えてきているためではないでしょうか。
レスリングでも競技を楽しむには、まず「病気にならない、又はなりにくい、あるいは怪我をしない、しにくい健康な体」が必要です。当たり前のような話ですが、バランスの取れた食事、睡眠など規則正しい生活が健康な体を作るし、健康な力があって「競技を楽しむ体」を積み上げることができるのです。同じように、人々が安心して楽しく暮らすためには、悪いことは悪いと判断して、けん銃といった社会を蝕む要素をしっかりと自らが排除し、法律という社会のルールを守るという健全な考えとパワーが必要だと思うのです。
日本のレスリングは、これまで世界に誇ることができる数々の実績を築いてきました。
これは、1人1人の選手はもとより、監督やコーチが、世界の他の誰よりも努力を積み重ねてきた結果であると言えるのです。同じように、国内における銃器犯罪の発生は、世界と比べて歴然とした差がつくほど少なく、世界中に胸を張って、日本の治安の良さを誇ることができました。
しかし、最近、銃器の発砲事件が新聞等マスコミを賑わしている状況を見ると、これまでの誇りを保つことができるか否か重要な局面を迎えているのではないかと思うのです。警察の努力だけではなく国民一人一人が、「けん銃などいらない」ときっぱりと言えるよう、自分たちの心や身体を鍛え、社会のルールをきちんと守るという気持ちをしっかりと持つ努力をしていく必要があるのではないでしょうか。
富山 英明