
塩谷 俊 さん
メッセージ:
1996年8月、私は松竹映画「大統領のクリスマスツリー」の撮影で、 New York に滞在していた。撮影のラストシーンは名優ロバート・デ・ニーロの経営するレストラン「NOBU」で行われることになっていた。撮影4日前に監督と共に「NOBU」に下見に出掛けた。夜12時を過ぎているというのに、店内は大勢の客で賑わっている。憧れのデ・ニーロの店で撮影ができるのかと思うと、期待と緊張感で胸が高鳴った。
翌日、私は40歳の誕生日を迎え、その夜はスタッフ、キャストがコリアン・バーベキューに誘ってくれた。パーティーの途中でプロデューサーのS氏がいないことに気付きスタッフに尋ねると、3日後に控えた「NOBU」の撮影に備え、お店まで打合せに行っていると言う。翌朝、ホテルのロビーで出会ったS氏はいつもと様子が違っていた。
私「Sさん、どうかしましたか?」
S氏「いやぁ、俊さん。昨夜は大変だったんです。打合せの最中に強盗が入って来て、シェフが足を撃たれたんです。私もあわててテーブルの下に隠れました。死ぬかと思いましたよ。」
私「‥‥本当ですか。大丈夫ですか?‥‥で、明後日の撮影はどうなるんですか?」
S氏「予定通りですよ。こちらも時間がないし、店の彼等もこんなことには慣れっこですからね‥‥。」
私は病んだアメリカの一端を垣間見た様な気がした。
戦後、あらゆる面でアメリカナイズされてしまったと言われる日本。犯罪も日に日に凶悪化の傾向を強めている。覚せい剤、麻薬、銃器が一般市民のレベルまで深く侵入し始めている今、我々全てが声を大にして "Stop the Gun" のキャンペーンを展開しなければ、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれない。世界一安全な国日本、それは遠い昔のイメージに過ぎない。
塩屋 俊